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当院の小児科について
ひと昔前は、小児科疾患の大半は感染症でありました。小児科における感染症の地位は、今日でも決して低下していませんが、その他の疾患、中でも気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー疾患の出現が新たな問題といえます。また偏食等による栄養障害は、現在の子どもの世代が壮年期以降になった時、骨粗しょう症などの形で疾患化する可能性をもっています。当院では、できるだけ子どもさん一人一人にも、疾患の理解をしてもらい、正しい医学知識を普及できるようこころがけています。また、当院では、正しい医学的立場にたって、診療をおこなっており、子どもさんのことでお困りの点は、何なりと御相談ください。
外来の診療のみでは、十分な治療ができない場合には、小児科の専門病院に橋渡しいたします。
赤ちゃんの主な病気
麻疹
- 原因
- 麻疹ウイルス
- 潜伏期間
- 10~12日間(麻疹との接触がはっきりしていれば、それから10日後に症状が出ると言うことです。)
- 症状
- 発熱、咳嗽、眼脂、鼻汁が3~4日間続いた後(カタル期)に、口の中にコプリック斑というはしか特有の発疹が出ます。
その翌日よりもう1℃ぐらい高熱となり、発疹が出現します(発疹期)。
その発疹は全身に広がり正常な皮膚の部分のほうが少ないぐらいになります。そして赤かった発疹が暗紫色となり、熱が下がります(回復期)。
約一週間発熱が続き、子どもにとってとても重たい病気です。
カタル期にはしかと診断することは困難で、最初はかぜと診断されていることが多いです。
肺炎中耳炎などを合併することも多く、特に合併症がなくても食事がとれずに入院になることも多い病気です。 - 治療
- 熱やかぜ症状に対するものが中心です。水分を十分与えることが重要です。
- 予防
- ワクチンが有効です。
風疹
- 原因
- 風疹ウイルス
- 潜伏期間
- 14~21日間
- 症状
- 発疹、発熱(小児ではあまり高くならない)、後頚部リンパ節腫脹が出現し、3日間でなおります。
風疹にかかった人の3000人に1人の割合で血小板減少性紫斑病が、6000人に1人の割合で脳炎がみられます。
また、妊婦が妊娠初期に風疹にかかると、生まれてくる子どもに眼、耳、心臓に障害をきたすことがあります。このようにして障害を持った子どもを先天性風疹症候群といいます。 - 治療
- 小児では、無治療で治癒することがほとんどです。
- 予防
- ワクチンが有効です。
みずぼうそう
- 原因
- 水痘・帯状疱疹ウイルス
- 潜伏期間
- 14~21日
- 症状
- 発熱、発疹(水疱疹)が、主症状です。発熱、発疹の程度は個人によってかなり差があります。
また、このウイルスは病気がなおった後に、神経に潜伏します。そして、免疫力が低下したときに、帯状疱疹として再び症状を出します。 - 治療
- 現在、水痘に有効な飲み薬があります。どの子がひどくなるのか予測できないので、本院では水痘と診断した子どもにすべて処方しています。特に、アトピー性皮膚炎の子は、ひどくなる可能性が高いので飲み薬を飲んだほうが良いでしょう。
- 予防
- ワクチンが有効です。
まだ水痘にかかっていない子が、水痘の子どもと接触した場合、72時間以内にワクチンを接種すれば、発病しないか、発病しても軽症化できます。
お風呂はどうするの?
熱がなく、食欲もあれば、入ってもかまいません。体の汚れは落としたほうが良いですが、水疱部分をゴシゴシ洗わないようにしましょう。
おたふくかぜ
- 原因
- おたふくかぜウイルス
- 潜伏期間
- 14~21日
- 症状
- 発熱と両側または一側の耳下腺腫脹で、顎下腺、舌下腺の腫脹を伴うこともあります。一週間ぐらいで腫脹は消失します。2~3日で腫脹が消失した場合は、おたふくかぜか判断できません。診断するには、2週間後に抗体を測定することが必要です。
- 治療
- 痛みに対するものが中心です。抗生剤を処方することがありますが、薬を飲み始めてすぐに腫脹が消失する場合はおたふくかぜではない可能性が高いです。(保険と自費があります。)
- 合併症
- おたふくかぜは髄膜炎を合併しやすい病気です。嘔吐があるようなら早めに再診しましょう。
- 予防
- ワクチンが有効です。
お風呂はどうするの?
熱がなく、食欲もあれば、入ってもかまいません。
おとふくかぜをしていないお父さん、お母さんへ
不顕性感染(症状が出ない感染)だった可能性もあります。まず、抗体をチェックされたらどうでしょうか。そして、抗体がなければ、ワクチン接種をおすすめします。
とびひとは?
虫さされ、湿疹、あせもなどをかいて、その部分に細菌がついて、水疱となったものをとびひといいます。水疱のしるがつくと、次々と水疱が増えていきます。
- 治療
- 抗生物質の飲み薬と、抗生物質のはいった軟膏を使います。
お風呂は避け、シャワーの方が良いでしょう。あまりゴシゴシ洗わず、汚れをさっと落とすようにしましょう。
手をよく洗い、爪を切っておきましょう。
プールは水疱が乾いてかさぶたになるまでやめましょう。
溶連菌感染症
溶連菌という細菌がのどに感染して、のどの痛み、熱、体や手足の発疹などが出ます。舌はイチゴのようになります。うつる病気です。
- 治療
- 溶連菌感染症と診断されたら、抗生物質を10~14日間飲みます。1日か2日で熱は下がり、のどの痛みも消えます。でも途中で薬を止めてしまうと再発することがあります。薬をきちんと飲まないとり埋まり熱や腎炎が起こることがありますから、指示どおり最後までのむことが大切です。
家庭で気をつけること
家族にもうつります。同じような症状があれば、受診してください。
食べ物は刺激の少ないものにしましょう。
熱が下がれば、お風呂に入って良いです。そのときにまだ発疹が消えていなくてもかまいません。
2日以上たっても熱が下がらないときや、のどが痛くて水分も取れないときにはもう一度早めに受診してください。
医師の許可をもらってから登園してください。
水いぼ(伝染性軟属腫)とは?
丸くて光ったいぼで、つぶすと白いかたまりが出ます。この中にウイルスがたくさん含まれていて、これがつくとうつります。プールで感染することが多いです。本人には特に自覚症状はありません。しかし、感染源になるので、プールに入らないほうがいいです。アトピー性皮膚炎がある子では、かいて広がることがあります。
治療方法
- 自然に治るのを待つ。
特に処置をしなくても数ヶ月(長いときには1年ぐらい)で自然に落ち着きます。しかし、その間はプールに入れません。 - つまんでとる。
ピンセットでつまんでとり、消毒します。痛みを伴いますし、小さいものはとりきれません。麻酔のテープを張ってからすれば、痛みを軽くすることができます。 - 腐食療法
硝酸銀溶液という液体でいぼを焼きます。1~2日はいたがゆい感じがします。かいたりしなければ2~3週間ぐらいでかさぶたとなります。 - 凍結療法
液体窒素で凍結させる方法です。週一回で数回繰り返します。当院では行って居りません。この方法は皮膚科にご相談ください。 - 飲み薬
漢方薬があります。2~3ヶ月間のむ必要があります。働きは人により様々です。
手足口病
手のひら、足のうら、口の中に小さな水ぶくれができる病気です。おしりやひざにできることもあります。熱はないか、あっても微熱程度です。手足の水ぶくれは痛がりませんが、口の中が痛くて食べられなくなることがあります。乳幼児の間で流行し、以前にかかったことがある子でもまたうつる場合があります。
- 治療
- 治療しなくても自然に落ち着くことがほとんどです。熱があれば、解熱剤を出したりします。
- 食事
- 痛みで食べられないこともあります。そんなときは、水分摂取には気をつけて脱水にしないようにしましょう。
- おふろ
- 熱がなく元気ならかまいません。
こんな時は早めに受診しましょう。
- 口の中が痛くて水分をあまり飲まないとき。
- 高い熱が三日以上続く時。
気管支喘息
気管支が何らかの原因で、発作的に細くなる病気です。そのため、細くなった気管支を空気がとおる時に、ゼイゼイまたはヒューヒューいったりします。このような呼吸困難を繰り返すのが気管支喘息です。小児では、その原因にアレルギーが関係していることが多いです。
繰り返すかどうかみないとわからないので、すぐに診断できないこともあります。
ゼイゼイいえば喘息なの?
乳幼児期は、ゼイゼイいうかぜによくかかる時期です。気管支炎で気管支がはれてもゼイゼイいいます。痰がたまって気管支が細くなってもゼイゼイいいます。だから、ゼイゼイいえば必ず喘息というわけではありません。
しかし、ゼイゼイを繰り返しておこし、2~3歳になっても落ち着く気配がなければ、喘息の可能性がたかいです。
喘息の治療
- 薬物療法
発作のときと、発作のないときに分けて考えます。- 発作のとき
- 水分をたくさん飲んで、腹式呼吸をするだけでもよくなる発作から、吸入や発作止めの飲み薬でもよくならず、点滴が必要なときもあります。
- 発作のないとき
- 特に必要としない子から、毎日の吸入、飲み薬が必要な場合があります。
症状のない慢性期にも予防的な治療を充分おこなうことが、ぜんそく治療の大事なところです。
- 環境整備
アレルギーの原因として多いのは家のほこり(主成分はダニ)です。家のほこりを少なくすることはとても大切なことです。- よく掃除をしましょう。
- じゅうたんは、ほこりがたまりやすいのでさけたほうがよいでしょう。
- 寝具のほこりには特に気をつけましょう。
- シーツ・カバーはこまめに取り替えましょう。
- ふとんは日にあてて干しましょう。
干した後、掃除機でほこりを吸い取りましょう。
- 鍛錬療法
体を鍛えることも大事なことです。
おねしょ(夜尿症)
おねしょは5歳の子の7~8人に1人、10歳の子の20~30人に1人にみられます。年齢とともに自然に落ち着いていく子がほとんどです。あせらずに怒らずにみてあげてください。
おねしょを減らすには、膀胱の成長だけでなく、ホルモン分泌の成長も必要です!
おねしょをしなくなるには、ある程度のおしっこを膀胱にためられるようにならないといけません。また、夜間におしっこを濃くして、量を少なくするためのホルモン分泌の成長も必要です。
夜中に起こしておしっこをさせるのは、あまりお勧めできる方法ではありません。それは、おしっこを濃くするホルモンが、熟睡しないとたくさん出ないからです。
寝る前におしっこをさせ、寝る前に水分をとらないようにすることは当然していると思います。
それだけでなく寝る前2時間の水分は、控えたほうがよいでしょう。また、夕食であまり水分をとり過ぎないように注意し、のどの渇く食事メニューは控えたほうがいいでしょう。
また、飲み薬などを使うこともあります。
リンゴ病
ヒトパルボウイルスB19による感染症で、ほっぺたが赤くなり、腕や太もものところにもまだらな発赤ができます。この部分が、かゆくなったりすることがあります。一般には発疹以外に症状はなく、1週間ぐらいで発疹は消失します。
発疹が出現した時期にはウイルス排泄はなく、人にうつす時期はすぎています。
治療法は?
ヒトパルボウイルスB19に効く薬はありません。自然に1週間ぐらいで落ち着きます。痒みがあれば痒み止めを出します。
お風呂はどうするの?
熱がなく、食欲もあれば入ってかまいません。
通園・通学は?
お医者さんとよく相談してください。
ヒトメタニューモウイルス感染症
気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症をひきおこすウイルスの一種で近年発見されました。RSウィルスの仲間で症状も似ています。1~3歳の幼児の間で流行することが多いのですが、大人にも感染します。RSウィルスよりは発生頻度は少ないようで、小児の呼吸器感染症の5~10%、大人の呼吸器感染症の2~4%は、ヒトメタニューモウイルスが原因だと考えられています。とくに乳幼児や高齢者では重症化することもあり、注意が必要です。
迅速診断キットがありますが、治療のためというよりは感染した子どもを隔離し流行を防ぐのが目的です。
- 症状
- 認識可能な臨床症候群は細気管支炎および肺炎である。これらの疾患は典型的には、はじめは鼻汁、発熱、咳などいわゆるかぜ症状ですが、発熱は4~5日間、咳も1週間程度続くことが多く、悪化するとぜんそくのようなゼイゼイ、ヒューヒューと言う呼吸音か聞かれ呼吸困難を引き起こすこともあります。年長児では症状が軽度であることも多いですが、年少児、乳児には無呼吸なども出現することがあり注意が必要です。
- 特徴
- 通常1週間程度で症状は治まりますが、1回の感染では免疫が獲得できず、何度か繰り返して感染して徐々に免疫がつき、症状は軽くなるようです。
ヒトメタニューモウイルスは、ウイルスの遺伝子も感染症の症状もRSウイルスに似ており、症状も見た目だけでは診断できません。
1年中発症が確認されていますが、3~6月にかけては特に患者さんが増加する傾向にあります。 - 治療
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基本は対症療法
症状が辛いときは、咳や鼻水を抑えたり、熱を下げたりするためのおくすりはだしますが、インフルエンザのようにウィルスを直接抑える薬はありません。水分をしっかりととり、温かくして、ゆっくりと休みましょう。
細菌の同時感染にも注意
ヒトメタニューモウイルスと同時に細菌にも感染してしまうことも少なくありません。ヒトメタニューモウイルスに感染し、熱が1週間以上続く場合は、細菌にも感染している可能性があり、その場合は、抗生物質が必要となります。中耳炎や細菌による肺炎などをおこしている可能性があるので、もう一度早めに受診しましょう。また、おくすりが出たら、医師や薬剤師の指示通りにのみましょう。 - 感染対策
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帰宅したら手洗い・うがいを
咳やくしゃみでウィルスが付着してしまったり(飛沫感染)、知らず知らずにウィルスに触れてしまったり(接触感染)することで感染が拡がります。
保育園・幼稚園や小学校などから家に帰ったら、手洗い・うがいを徹底しましょう。
また、家庭内での感染を防ぐために、お子様の感染が疑われるときは、感染が拡がらないよう、マスクを着用する、タオルを共用しないなどの感染対策を心がけましょう。
熱が出たときの対応方法
解熱剤はむやみに使用しない
解熱剤には病気自体を治すはたらきはありません。むしろ急激に体温が下がると、体に負担をかけることになり、低体温、ショック、けいれんを起こすこともあります。
感染症のときの熱は人間が長い間に獲得してきた防衛反応ですから、むやみに解熱剤を使わない方が良いのです。
そうは言っても、夜間の急な発熱でお子様が興奮して安眠ができないときや、発熱によりぐったりして水分摂取もままならないとき、以前に発熱に伴ったけいれん(熱性けいれん)を起こしたことのあるお子様などは解熱剤を使ってあげたほうが良い時もあります。その場合は、解熱剤(アセトアミノフェン)を必ず医師の指示どおりに使用してください。
当院でふつう、子どもたちに処方する薬には、解熱剤は入っていませんが、年長児や小、中学生にはイブプロフェンを処方することもあります。
副作用のない解熱法
熱の上がり始めで手足が冷たく寒気があるときは、とりあえず暖め、熱が上がりきったら、こんどは、薄着にして頭や体を冷やし体温調節を助けます。また、熱があると大量の水分が失われ、食欲の低下にともなって飲水量は不足し、脱水が心配です。小児用イオン飲料などで十分に水分補給をしてください(これがいちばん大切)。
つまり、
- 薄着にする
- アイスノンなどでからだを冷やす
- 十分な水分補給をする
というのが、副作用のない、良い解熱法といえるのです。
ほとんどの場合はこれでうまくいきます。
危険な熱に注意
以上のように、ただ熱があるということだけではあまり心配はないのですが、次のような時は重症の感染症を合併している可能性があり、精密検査の上、対処が必要となることがあります。ご相談ください。
- 3日以上続く高熱(38.5℃以上)があるとき
- 不機嫌で、嘔吐があり、頭痛を伴い水分補給ができないとき
- けいれんを伴うとき
薬を嫌がって飲まないとき
乳児
すこしの水で練って上あごやほっぺにこすりつけ、その後に、水、ミルクなどをあげます。
はじめからミルクに混ぜてあたえると、飲み残したり、ミルク嫌いになったりすることもありえるので、さけたほうがよいと思います。
幼児
本人に大切な薬であること、そんなにはまずくないことを、よく説明して納得させ、まず他の物に混ぜないで、そのまま飲めるような習慣をつけてください。あとが楽になります。
しかし、どうしても嫌がるときは、牛乳、アイスクリームなどの乳製品に混ぜてあげても良いでしょう。少し苦味が和らぎ、飲みやすくなります。ヨーグルトはクラリス、ジスロマックなど一部の抗生剤とは相性がわるいようです。混ぜるとかえって苦味が強くなります。
また少量の水で溶いて凍らせても飲みやすいようです。このようにしても薬の効きめには変わりありません。
ジュース、スポーツドリンクにまぜると苦味が強くなるだけではなく、時に薬自体のききめが弱くなるものもあります。注意が必要です。
いつ飲ませればよいか
食事にとらわれず、例えば、朝8時ごろ、昼2時ごろ、夜8時ごろなど、起きている時間を大体3等分してあげてください。食事のすぐあとは、満腹で飲まなかったり、嫌いな薬を無理にのまされて、食べ物といっしょに吐いてしまうこともあるので、子どもの薬は空腹時(授乳前)にのませた方が楽なようです。そのほうが効きめ自体も良く、当院で通常処方する薬は、とくに胃を荒らすこともないのです。
そのほか
乳児健診
赤ちゃんが大人と違う点に成長と発達があります。
成長とは身長、体重などの身体的発育をいい、発達とは精神運動発達のような機能的発達を意味します。
乳児健診の目的と意義は、病気を見つけることだけではなく、いろいろな発達障害、視力、聴力障害の早期発見、育児相談、栄養相談など、きめ細かい個別指導を行うことにあります。正常で生まれた赤ちゃんでもまれに発達に遅れが認められることがあり、早期発見及び専門的訓練により充分に正常の発達がのぞめるものもあり、また、単にお母さんの心配が先行することも多く、育児相談より心配を和らげることもあります。
※詳しくは検診のページをご覧ください。
予防接種
予防接種について、受けたほうがよいのか、何から受けたらよいのか、何か副反応が出たらどうしようかななどといろいろ不安をもたれているお母さんも多いと思われます。
※詳しくは予防接種のページをご覧ください。